2022年の育休に関する法改正を機に、女性だけでなく男性も育児に参画するものとして国全体で取組みが進められています。そこで、今回はトヨタホームの男性育休の取組みについてご紹介します。制度が生まれた背景や、実際に育休を取得された男性社員がどのように仕事と育児のバランスを取っているかについて、お届けします。

男性育休制度の誕生から社内浸透するまでの取組み

――まず、男性育休推進の取り組みを始められたきっかけを教えてください。

倉世古：

たまたまSNSを見ていた際に育休に関する法改正があることを知り、当社でも取り組まないといけないと思ったことがきっかけです。

従来当社では、女性で育休を取得される方は多くいらっしゃり、2か月に1回くらいは育休の申請がくるようなかたちでした。一方、男性は育休を取得するという風潮がなく言いだしづらかったり、そもそも制度の存在を知らなかったのか、育休を取得される方は0名で、当社でも男性が育休を取りやすい環境を整えなければならないと感じました。

――どのように取り組みを推進していったのでしょうか。

倉世古：

まず、ベンチマークを調査し、上司に「必ず育休を取得するというルールに変更すべきではないか」と打診したところ、「育休取得の選択はあくまで権利であり、会社から強制するものではないんじゃないか」との意見をいただきました。そこで、大胆な仕組みではなく、できるところからスタートすることにしました。もともとは育休取得予定者（ほとんどが女性）のみ上司と面談を行う仕組みでしたが、子どもができたとわかったタイミングで男女関係なく上司と面談することを必須とする仕組みに変更しました。当社では出産届を出していただくとお祝い金がもらえる仕組みになっているため、人事としても漏れなくフォローできると考えていました。上司との面談のなかで育休取得時期や仕事のフォロー対応の相談をしてもらい、今では育休取得にあたる心配事を減らす取組みとして根付いています。

――取り組みを推進する上で、こだわっていたポイントはありますか。

倉世古：

男女ともに社員の声を聴くことを大切にしました。社員の声を集めるために、育休取得後の女性社員7名と個別に面談を実施しました。加えて、普段パソコンを使用せず、タイムリーに情報が届きにくい技能系職種の方々は特に重要視する必要があると感じていたので、その方の上司も含めて、不安に感じること等、色々なお話を伺いました。その中で、多かった声は”育休取得中の収入面が不安”という意見で、男性育休推進にあたって最大のネックになっていました。そこで、さまざまな助成金が一目でわかる計算ツールを作成し、何でどのくらい助成金をもらえるか、を見える化することで安心して育休を取ってもらえるようになりました。

――そのほかにも、実施された取組みはあったのでしょうか。

PLTグループ全体で育休推進のプロジェクトチームが組成され、いろんな職種の方が、いろんな方法で育休を取得していることを伝えるべく、８つのインタビュー記事を作成・公開していきました。半年間と期間が決まったプロジェクトだったので、記事の閲覧数をKPIとして、半年の間になるべく沢山の方々に見ていただけるよう、工夫を施しました。

「家族にとって、パパは自分しかいない」男性育休取得者の声

――齋藤さんにお伺いします。育休取得の流れや育休中の過ごし方について教えてください。

齋藤：

第二子誕生にあたって2か月間の育休を取得しました。第一子誕生の際には親族など周りのサポートも手厚く、会社としてもまだ男性の育休は推進されていないときでしたので、育休は取得していませんでした。今回は、ほかの部署の方が育休を取られた話も聞いていたので、言い出しやすく、育休を取得する決断をしました。

実は、妊娠がわかったのはグループ長の役割をいただいてすぐの頃で、正直「大丈夫かな」という心配な気持ちは大きかったです。しかし、上司に相談すると、マネジメント業務含め快く上司が代替してくれることになり、育休を取得することができたので、非常に感謝しています。取得が決まったあとは、半年間くらいかけて上司に業務を引き継ぎながら、準備しました。

育休期間中は、私が上の子の面倒を見たり遊び相手をしたりしながら家事をし、生まれたばかりの子は奥さんが面倒を見てくれて、お互いに役割分担をしながら過ごせたと思います。改めて、仕事はほかの人でも代わりがいるけれど、子どもの面倒はパパである自分でないとできないと、使命感にかられましたね。

今回育休を取得したことで、今まで奥さんに子どもの面倒を看てもらう時間が長く、負担をかけていたなと自覚しました。

――育休復帰後はどのような働き方で育児と仕事を両立されているのでしょうか。

齋藤：

復職後は、業務内容は変わりませんでしたが、妻子が体調を崩したときに仕事を調整できるよう、仕事の進め方が変わったように感じています。業務をやめたり変えたり、棚卸をする「ヤメカエ」という取組みも当社にはありますので、業務効率を上げて仕事に取り組めています。

――続いて長谷川さんにもお伺いします。

長谷川：

私も、育休を申し出る1か月くらい前に同じ部署の方が育休を取っていたので言いやすい雰囲気でしたね。第一子の誕生だったのですが、出産後、退院してから2週間育休を取得しました。2週間という短期間でしたので、特段引継ぎ事項もなく、自身が担当している仕事を前倒しで進めたのち、育休に入りました。

第一子だったため、奥さんも自分もはじめてのことばかりで不安な環境でしたので、奥さんを一人にしてはいけないなと思い、改めて育休を取れてよかったと感じましたね。二人で協力しながら家事を行い、奥さんの体調を優先することができました。

仕事に復帰してからは、奥さんが育休を取得して子育てしてくれているため、負担をかけているなと思うこともあります。自分もできることをしようと、奥さんが体調を崩したときには年休を取得して、家事や子育てを担当しています。突発的な年休が取りやすい環境なのはありがたいですね。4月から保育園に入る予定ですが、奥さんの復職後も役割分担して子育てしていきたいです。

候補者の皆さんへのメッセージ

――最後に、候補者の方々へメッセージをお願いいたします。

倉世古：

私自身、入社6年目のときに育休制度の変革に携わることができ、若手でも活躍できる風土が用意されていることは大変魅力的だと思います。今でこそ男性育休の取得率は昨年度75％まで上がっていますが、取組みを始めた当初は0からのスタートでした。0から1を作り上げることができる機会も用意されている会社です。前向きに仕事に取り組んでくださる方にぜひご入社いただきたいです。

齋藤：

男性育休の取組みはここ2-3年でかなり手厚くなってきたと思います。今では”取るのが当たり前”。これから入社いただく方も心配無用です。仕事は代わりがいても、家族を助けてあげられるのは自分しかいません。子どもができるというのは、人生の大事なタイミングです。遠慮せず制度を活用してもらいたいです。

長谷川：

自身が所属する現場部門でも、育休を取得される方は増えてきています。そのほか、年次有給休暇も毎年20日あり、積み立てることもできる。昨年度からカフェテリアプランという福利厚生制度も誕生し、育児への給付金も手厚くなっています。ぜひ、これからご入社いただける方にもご活用いただきたいです。

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